胃薬の副作用で下痢!?

OTC薬

胃薬で下痢になることがある?タケプロンの副作用と膠原線維性大腸炎について

「胃薬を飲んでいるのに、なぜか下痢が続く……」

そんな経験はありませんか?

実は、胃酸を抑える薬が下痢の原因になることがあります。

特に、タケプロン(ランソプラゾール)などのPPIと呼ばれる胃薬では、副作用として下痢が報告されています。

今回は、実際に薬局で経験した患者さんの事例を交えながら、胃薬による下痢の原因や注意点について解説します。

胃薬のPPIとは?

PPIとは「プロトンポンプ阻害薬」の略で、胃酸の分泌を強力に抑える薬です。

胃の中には、胃酸を分泌するための「プロトンポンプ」という仕組みがあります。

PPIは、このプロトンポンプの働きを抑えることで、胃酸の分泌を減らします。

胃潰瘍や逆流性食道炎などの治療に使用されており、代表的な薬には次のようなものがあります。

  • タケプロン(ランソプラゾール)
  • オメプラール(オメプラゾール)
  • パリエット(ラベプラゾール)
  • ネキシウム(エソメプラゾール)

胃酸を抑えることで胃や食道の粘膜を守る、大切なお薬です。

しかし、ほかの薬と同じように副作用が起こる可能性もあります。

その一つが「下痢」です。

タケプロンの副作用で下痢が続いた患者さん

以前、薬局でこんな患者さんに出会いました。

その方はタケプロンを服用しており、整腸剤も処方されていました。

患者さん:「最近ずっと下痢が続いているんです。もう1か月くらいになります」

原因がわからず、大腸のCT検査や内視鏡検査を受けることになったそうです。

そして約1か月後、再び薬局に来られた際に、こんなお話をしてくださいました。

患者さん:「タケプロンをやめてみたら、下痢が治ったんです!」

タケプロンの服用中止後、下痢が改善したとのことでした。

このように、長く続く下痢の原因として、普段服用している薬が関係している場合もあります。

ただし、薬を中止して症状が改善したからといって、それだけで原因を確定できるわけではありません。

今回の事例では、タケプロンによる薬剤性の下痢が疑われました。

※患者さんが特定されないよう、個人情報や一部の経過は省略しています。

タケプロンによる下痢はどのくらい起こる?

ランソプラゾールの添付文書では、下痢は0.1%以上5%未満の副作用として記載されています。

つまり、服用したすべての人に下痢が起こるわけではありません。

一方で、服用中に下痢が続く場合には、薬の影響も考える必要があります。

特に注意したいのが、「膠原線維性大腸炎」という病気です。

胃薬で下痢になる原因は?膠原線維性大腸炎とは

膠原線維性大腸炎(こうげんせんいせいだいちょうえん)は、大腸の粘膜に炎症が起こり、粘膜の下にコラーゲンの層が厚く形成される病気です。

英語では「collagenous colitis」と呼ばれます。

主な症状は、長期間続く水のような下痢です。

血液が混じらない下痢が典型的ですが、血便などがみられる場合もあります。

この病気は、顕微鏡で大腸の組織を調べることで診断されます。

そのため、大腸内視鏡検査で見た目に大きな異常がなくても、組織検査によって病気が見つかることがあります。

なぜPPIで膠原線維性大腸炎が起こるの?

ランソプラゾールなどのPPIと膠原線維性大腸炎との関連が報告されています。

ただし、どのような仕組みで発症するのかは、まだ十分に解明されていません。

また、PPIを服用している人の下痢が、すべて膠原線維性大腸炎によるものというわけではありません。

感染症やほかの薬の副作用など、さまざまな原因が考えられます。

タケプロン以外の胃薬でも下痢になる?

下痢はタケプロンだけに限った副作用ではありません。

ほかのPPIでも下痢が報告されています。

また、タケキャブ(ボノプラザン)も胃酸の分泌を抑える薬ですが、PPIとは異なり「P-CAB」という種類に分類されます。

タケキャブでも下痢が副作用として報告されています。

ただし、下痢の起こりやすさがすべての薬で同じというわけではなく、添付文書に記載された頻度をそのまま比較して、どの薬が最も安全か判断することはできません。

胃薬を飲んでいて下痢が続く場合はどうする?

胃薬の服用中に下痢が続いている場合には、次の点を確認してみてください。

  • いつから下痢が始まったか
  • 1日に何回くらい下痢をするか
  • 水のような便が続いていないか
  • 最近、新しく飲み始めた薬はないか
  • 腹痛、発熱、血便などの症状はないか

下痢が続く場合は、処方医や薬剤師に相談してください。

特に、水のような下痢が長期間続く場合は、膠原線維性大腸炎などの可能性も考慮する必要があります。

タケプロンの添付文書にも、下痢が継続する場合には膠原線維性大腸炎などが発現している可能性があり、速やかな投与中止が必要である旨が記載されています。

ただし、胃薬が必要な病気の治療中である可能性もあるため、自己判断で中止せず、速やかに処方医へ連絡してください。

また、血便、強い腹痛、発熱、脱水症状などがある場合には、早めの受診が必要です。

まとめ|長引く下痢は胃薬が原因の可能性も

胃酸を抑えるPPIは、胃潰瘍や逆流性食道炎などの治療に欠かせない薬です。

しかし、副作用として下痢が起こることがあり、まれに膠原線維性大腸炎などの病気が関係している場合もあります。

今回紹介した患者さんのように、服用している薬を見直すことが症状改善のきっかけになる場合もあります。

「胃薬だから下痢とは関係ないだろう」と決めつけず、長引く下痢がある場合には、服用している薬についても医師や薬剤師に伝えてみてください。

参考資料

  • PMDA:タケプロンOD錠15・30 電子添文
  • PMDA:ランソプラゾール製剤 電子添文

※本記事は一般的な医薬品情報の提供を目的としており、個別の診断や治療を行うものではありません。

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