関節リウマチの治療で使われる「メトトレキサート」というお薬をご存じでしょうか?
リウマトレックスなどの商品名で処方されており、関節リウマチの治療において重要な役割を担っています。
しかし、メトトレキサートには、ほかのお薬とは異なる服用方法や、特に注意しなければならない副作用があります。
今回は、メトトレキサートを服用している方やそのご家族に向けて、服用時の注意点と、どのような症状が出たら病院に連絡する必要があるのかを解説します。
メトトレキサートとは?

メトトレキサートは、関節リウマチなどの治療に使われるお薬です。
関節リウマチは、免疫の働きに異常が生じ、自分の関節に炎症が起こる病気です。
メトトレキサートは、免疫の働きを調整して炎症を抑え、関節の痛みや腫れを改善し、関節の破壊を防ぐことを目的として使用されます。
関節リウマチの治療では、中心的な役割を担うお薬の一つです。
① 毎日飲んではいけない!服用方法に注意
メトトレキサートで特に注意したいのが、服用する日です。
一般的なお薬は毎日服用するものが多いですが、関節リウマチに使用するメトトレキサートの飲み薬は、通常、1週間のうち決められた日だけ服用するお薬です。
例えば、月曜日だけ、あるいは月曜日と火曜日など、医師が指定したスケジュールで服用します。
服用しない日には飲まないことが重要です。
間違えて毎日服用してしまうと、骨髄抑制などの重篤な副作用につながり、命に関わることもあります。
飲み忘れた場合も、自己判断でまとめて飲んではいけません。
飲む日や回数がわからなくなった場合は、必ず医師や薬剤師に確認してください。
② こんな症状が出たら、すぐに病院へ!
メトトレキサートを服用している間は、重大な副作用の初期症状を知っておくことが大切です。
発熱・喉の痛み・強いだるさ
次のような症状に注意してください。
- 発熱、寒気
- 喉の痛み
- 風邪のような症状
- いつもより強い疲労感やだるさ
これらは感染症だけでなく、「骨髄抑制」という副作用のサインである可能性があります。
骨髄抑制とは、血液をつくる骨髄の働きが低下することです。
白血球が減少すると感染症にかかりやすくなり、重症化することがあります。
「ただの風邪だから大丈夫」と自己判断せず、早めに医療機関へ連絡しましょう。
咳・息切れ・息苦しさ
次のような症状が現れた場合も注意が必要です。
- 乾いた咳が続く
- 少し動いただけで息切れする
- 息苦しさを感じる
- 発熱を伴う咳が出る
メトトレキサートでは、重大な副作用として「間質性肺炎」が起こることがあります。
間質性肺炎とは、肺の中で酸素を取り込むために重要な組織に炎症が起こり、呼吸がしにくくなる病気です。
メトトレキサートによる間質性肺炎は、服用量や服用期間に関係なく起こる可能性があります。
新たな咳や息切れ、息苦しさが現れた場合は、次の服用を控え、速やかに医療機関を受診してください。
呼吸が非常に苦しい場合は、救急受診が必要です。
口内炎・口の中のただれ
「口内炎くらいなら大丈夫」と思う方もいるかもしれません。
しかし、メトトレキサートを服用している場合、口内炎は注意が必要な症状の一つです。
メトトレキサートは葉酸の働きを妨げる作用があり、口の中の粘膜など、細胞の入れ替わりが活発な組織に影響することがあります。
特に、これまでなかった口内炎ができた場合や、口内炎が増えた場合、口の中がひどくただれている場合には注意が必要です。
口内炎は薬の副作用のサインである可能性があるため、次の服用を控え、早めに医師へ相談してください。
あざ・鼻血・歯ぐきからの出血
次のような症状にも注意しましょう。
- 身に覚えのない青あざが増える
- 鼻血が出やすくなる
- 歯ぐきから出血する
- 出血が止まりにくい
これらは、骨髄抑制によって血小板が減少しているサインかもしれません。
血小板には、出血を止める働きがあります。
血小板が減少すると、出血しやすくなることがあります。
このような症状が現れた場合は、速やかに医療機関に連絡してください。
出血が止まらない場合は、救急受診が必要です。
尿が少ない・むくみが強い
メトトレキサートは、主に腎臓から排泄されるお薬です。
腎臓の働きが低下すると、薬が体内に残りやすくなり、副作用が強く現れるおそれがあります。
特に、
- 尿の量や回数が急に減った
- 体がむくむ
- 強い脱水症状がある
といった場合は注意が必要です。
尿量が急に減った場合などは、速やかに医療機関へ連絡してください。
③ 体調が悪いときは、いつもどおり飲んでいい?
メトトレキサートは、体調によって一時的に服用を中止する必要があるお薬です。
例えば、次のような場合です。
- 38℃以上の高熱がある
- 強い風邪症状や感染症が疑われる
- 帯状疱疹などの感染症にかかった
- 嘔吐や下痢が続き、脱水が疑われる
- これまでなかった口内炎や口のただれがある
こうした場合は、メトトレキサートを一時的に休薬し、早めに医師へ連絡することが推奨されています。
特に、発熱や強い風邪症状がある場合は、無理に服用を続けないことが重要です。
ただし、すべての体調不良で休薬が必要というわけではありません。
事前に主治医と「どのようなときに薬を休むか」を確認しておきましょう。
④ なぜ葉酸を一緒に飲むの?
メトトレキサートを服用している方には、「フォリアミン」などの葉酸製剤が処方されることがあります。
メトトレキサートは、葉酸の働きを妨げることで効果を発揮するお薬です。
しかし、その作用によって口内炎や肝機能障害、消化器症状などの副作用が起こることがあります。
葉酸を補充することで、こうした副作用を軽減することが期待できます。
ただし、葉酸はメトトレキサートと同じタイミングで飲めばよいというものではありません。
一般的には、メトトレキサートの最終服用から24〜48時間後に葉酸を服用する方法などが用いられます。
葉酸の服用日や量は処方内容によって異なるため、必ず指示どおりに服用してください。
また、葉酸を服用していても、重大な副作用を完全に防げるわけではありません。
⑤ 飲み合わせにも注意!
メトトレキサートは、ほかのお薬との飲み合わせによって副作用が強く現れる場合があります。
例えば、次のようなお薬です。
抗菌薬
一部の抗菌薬では、メトトレキサートの排泄が妨げられたり、骨髄抑制が強まったりする可能性があります。
特に、スルファメトキサゾール・トリメトプリム配合剤(バクタなど)は注意が必要です。
痛み止め
ロキソプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、メトトレキサートの排泄に影響することがあります。
ただし、関節リウマチの治療では医師の管理下で併用される場合もあります。
処方されている薬を自己判断で中止する必要はありませんが、市販の痛み止めを追加するときは、医師や薬剤師に確認してください。
⑥ 定期的な血液検査が必要なのはなぜ?
メトトレキサートによる副作用は、必ずしも自覚症状が現れるとは限りません。
そのため、定期的な検査が重要です。
血液検査などでは、主に次の項目を確認します。
- 白血球・赤血球・血小板:骨髄抑制の確認
- AST・ALTなど:肝機能の確認
- クレアチニン・eGFRなど:腎機能の確認
自覚症状がなくても、検査によって異常が見つかることがあります。
体調がよいからといって、自己判断で検査を受けなくなることは避けましょう。
⑦ 妊娠・授乳中は使用できない
メトトレキサートは、胎児に悪影響を及ぼすおそれがあるため、妊娠中や妊娠している可能性のある方には使用できません。
また、授乳中も使用できません。
妊娠を希望している場合は、男女ともに事前に医師へ相談する必要があります。
避妊が必要な期間についても、使用している製剤や医師の指示を確認してください。
服用中に妊娠が判明した場合や、妊娠の可能性がある場合は、速やかに主治医へ連絡してください。
まとめ|メトトレキサート服用中に覚えておきたいこと
メトトレキサートは、関節リウマチの治療において重要なお薬ですが、服用方法や副作用には十分な注意が必要です。
特に覚えておきたいのは、
- 毎日飲む薬ではなく、決められた日に服用する
- 発熱・喉の痛み・強いだるさに注意する
- 咳・息切れ・息苦しさが現れたら速やかに受診する
- 口内炎やあざ、出血も副作用のサインになる
- 感染症や脱水が疑われるときは休薬について医師に相談する
- 定期的な血液検査を欠かさない
「いつもと違う症状が出たときに、薬の副作用かもしれないと気づけること」が大切です。
副作用を必要以上に怖がるのではなく、正しい服用方法と注意すべき症状を知り、安全に治療を続けていきましょう。
※この記事は、関節リウマチに使用する低用量メトトレキサートの内服について解説しています。服用方法や休薬の判断は、主治医の指示を優先してください。
参考資料
- PMDA「リウマトレックスカプセル2mg」電子添文(2026年3月改訂)
- PMDA「リウマトレックスカプセル2mg」患者向医薬品ガイド
- 日本リウマチ学会「メトトレキサート(MTX)」
- 日本リウマチ財団「メトトレキサート」

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