「レルミナはなぜ食前に飲まなければいけないの?」
「食後に飲んでも効果は変わらないの?」
患者さんから、このような質問を受けることがあります。
私自身も理由が気になり、添付文書やインタビューフォーム、PMDA審査報告書を読みながら調べてみました。
今回は、自分が学んだことを整理しながら、レルミナの作用機序や食前に服用する理由について、できるだけわかりやすくまとめたいと思います!
この記事では、レルミナの適応や作用機序、そして食前に服用する理由について、添付文書・インタビューフォーム・PMDA審査報告書をもとにわかりやすく解説します。
レルミナとは?
レルミナ錠40mgは、有効成分レルゴリクス(Relugolix)を含む経口のGnRH受容体拮抗薬。
日本では、次の効能・効果が承認されています。
子宮筋腫
子宮筋腫に伴う
- 過多月経
- 下腹痛
- 腰痛
- 貧血
の改善
子宮内膜症
子宮内膜症に伴う疼痛の改善
通常、成人にはレルゴリクス40mgを1日1回食前に服用します。
また、初回投与は月経周期1~5日目から開始することとされています。
子宮筋腫や子宮内膜症はなぜ症状が起こるの?
レルミナの作用を理解するためには、女性ホルモンの働きを知ることが大切です。
子宮筋腫も子宮内膜症も、女性ホルモンの一つであるエストロゲンの影響を受ける病気です。
エストロゲンが分泌されることで、
- 子宮筋腫は増大しやすくなる
- 子宮内膜症の病変が維持・増悪しやすくなる
ことが知られています。
そのため、治療ではエストロゲンの分泌を抑えることが重要になります。
レルミナの作用機序
女性ホルモンは、次のような流れで分泌されています。
視床下部
↓ GnRH
下垂体
↓ LH・FSH
卵巣
↓
エストロゲン
まず、脳の視床下部から GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)が分泌されます。
GnRHは下垂体にあるGnRH受容体に結合し、LH(黄体形成ホルモン)とFSH(卵胞刺激ホルモン)の分泌を促します。
LHとFSHは卵巣を刺激し、エストロゲンの分泌につながります。
レルミナは、このGnRH受容体に直接結合し、GnRHが受容体へ結合するのを阻害します。
その結果、
レルミナ
↓
GnRH受容体を阻害
↓
LH・FSHの分泌が低下
↓
卵巣からのエストロゲン分泌が低下
↓
子宮筋腫・子宮内膜症の症状が改善
という流れになります。
GnRH受容体を直接阻害するため、GnRHアゴニスト製剤でみられるフレアアップ現象(投与初期に一時的にホルモンが増加する現象)を起こしにくいことも特徴です。
子宮筋腫にはどのように効果を示すの?
子宮筋腫は、エストロゲンなどの女性ホルモンの影響を受けて大きくなる良性腫瘍です。
レルミナによってエストロゲンの分泌が低下すると、
- 月経量の減少
- 子宮筋腫体積の縮小
- 子宮体積の縮小
などが認められます。
国内第Ⅲ相試験では、主要評価項目である「投与6~12週のPBACスコアが10未満となった患者の割合(レスポンダー率)」は82.2%でした。(レルミナIFより)
PBACとは?
PBAC(Pictorial Blood Assessment Chart)とは、月経量を客観的に評価するための指標です。
ナプキンやタンポンの汚れ具合、交換回数、血の塊(凝血塊)の有無などを点数化し、月経血量を評価します。
実際に月経血を計量することは難しいため、多くの臨床試験でPBACが用いられています。
子宮内膜症にはどのように効果を示すの?
子宮内膜症もエストロゲンの影響を受ける病気です。
レルミナによってエストロゲンの分泌が低下すると、子宮内膜症病変の活動が抑えられ、
- 月経痛
- 骨盤痛
などの疼痛改善が期待できます。
日本で承認されている効能は、「子宮内膜症に伴う疼痛の改善」です。
なぜレルミナは食前に飲むの?
レルミナは、食後に服用すると吸収量が大きく低下することが確認されています。
健康成人女性を対象とした薬物動態試験では、
- 絶食時
- 朝食前
- 朝食後
で比較が行われました。
その結果、朝食後に服用した場合は、絶食時と比べて
- Cmax(最高血中濃度):45.43%
- AUC120(薬が体内へ吸収された総量):52.56%
まで低下しました。(レルミナIF)
つまり、食後では薬の吸収量がおよそ半分まで減少したことになります。
そのため、レルミナは「胃への負担を減らすため」ではなく、十分な効果を得るために食前に服用する必要がある薬なのです。
Cmaxとは?
Cmaxとは、薬を飲んだあとに血液中の薬の濃度が最も高くなった値のことです。
イメージすると、

Cmaxが45.43%まで低下したということは、
「血液中の薬の濃度のピークが半分以下になってしまう」
ということです。
つまり、
- 十分な濃度まで上がらない
- 薬が効くために必要な血中濃度に届きにくくなる可能性がある
ということになります。
AUCとは?
AUC(Area Under the Curve)は、体内にどれだけ薬が吸収されたかを表す指標です。
コップに水を入れるイメージをすると分かりやすいです。

コップいっぱいまで水が入れば、十分な量の薬が体内に取り込まれた状態です。
一方、半分しか入らなければ、体内へ吸収された薬も半分程度ということになります。
つまり、AUCが52.56%まで低下したということは、体内へ吸収される薬の量が大きく減少したことを意味します。
なぜ食事で吸収が低下するの?
添付文書やインタビューフォームでは、食後に吸収量が低下することは確認されていますが、その詳細な機序については記載されていません。
そのため、
「○○が原因で吸収が低下する」
と断定することはできません。
現時点で根拠に基づいて言えるのは、
「食後に服用すると吸収量が大きく低下することが臨床試験で確認されているため、食前投与が推奨されている」
ということです。
まとめ
レルミナ(レルゴリクス)は、GnRH受容体を阻害することでエストロゲンの分泌を低下させ、子宮筋腫や子宮内膜症の症状を改善する経口薬です。
また、食後では薬の吸収量が大きく低下することが確認されているため、食前に服用することが重要です。
次回は、
- ホットフラッシュはなぜ起こる?
- 不正出血が起こる理由
- 骨密度が低下する仕組み
- 骨密度は治療終了後に回復するの?
- 関節痛はなぜ起こる?
について、添付文書やインタビューフォーム、査読論文をもとに詳しく解説します
参考文献
- レルミナ錠40mg 添付文書(あすか製薬)
- レルミナ錠40mg インタビューフォーム 第8版(2023年2月改訂)
- PMDA レルミナ錠40mg 審査報告書


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